京都五山送り火は、毎年8月16日に京都の5つの山で火を灯し、お盆に迎えた祖先の霊を送り届ける伝統行事だ。「大文字焼き」と呼ばれることもあるが、京都では「送り火」が正式名称。すべて京都市登録無形民俗文化財に指定されている。

2026年は8月16日(日)20:00に大文字が点火され、5分間隔で順次5つの山に火が入る。各山とも約30分間燃え続けるため、20:00〜20:50の約50分間が送り火の時間帯になる。

この記事では全5山の点火スケジュール、鑑賞スポット、穴場、護摩木奉納、アクセス、混雑回避を完全網羅する。


2026年の基本情報

項目詳細
開催日2026年8月16日(日)
点火時刻20:00〜20:20(5分間隔で順次点火)
燃焼時間各山とも約30分間
場所京都市内の5山(東山・松ヶ崎・西賀茂・大北山・嵯峨)
料金無料(有料鑑賞席を設ける施設あり)
雨天原則決行(気象条件で点火時間変更の可能性あり)
消灯協力19:50〜20:50、京都市内のネオン灯等が消灯(山科・伏見除く)
テレホンサービス0180-991-153(16日13:30〜)

全5山の点火スケジュールと規模

5つの送り火は20:00から5分間隔で順次点火される。規模の大きさを火床の数で比較すると、鳥居形(108基)が最多、左大文字(53基)が最少だ。

点火時刻山名文字・形火床数大きさ所在地
20:00東山如意ヶ嶽(右大文字)75基一画80m・二画160m・三画120m左京区
20:05松ヶ崎西山・東山妙・法妙103基・法63基各山 縦横最長約100m・70m左京区
20:10西賀茂船山船形79基横約200m・帆柱高さ約90m北区
20:15大北山左大文字53基一画48m・二画68m・三画59m北区
20:20嵯峨鳥居本曼荼羅山鳥居形108基笠貫約70m・脚約80m右京区

ポイントは最初の「大文字」と最後の「鳥居形」の点火差がわずか20分ということ。見る場所によっては移動しながら複数の山を見ることは物理的に難しい。事前にどの山を見るか決めておく必要がある。


山別の鑑賞スポット完全ガイド

大文字(東山如意ヶ嶽)— 20:00点火

五山送り火の代名詞。「大」の字が最も大きく、火床の二画だけで160mある。

スポット見え方混雑度アクセス
出町柳の鴨川三角州(デルタ)正面に「大」の字。最も美しい角度非常に混雑(18時には場所取り開始)京阪「出町柳」駅すぐ
京都御苑広い敷地で比較的ゆったりやや混雑地下鉄「今出川」駅徒歩5分
吉田山近距離で迫力満点中程度京阪「出町柳」駅徒歩15分
鴨川堤防(丸太町橋〜御薗橋)川面に映る「大」の字混雑各最寄り駅から徒歩
賀茂大橋正面やや右寄り混雑京阪「出町柳」駅徒歩3分

おすすめ: 初めてなら出町柳三角州が鉄板。ただし18時前に着かないとよい場所は埋まる。ゆったり見たいなら京都御苑が広くて視界も開けている。

妙法(松ヶ崎)— 20:05点火

「妙」と「法」が別々の山に灯る。セットで見ると美しいが、角度によっては片方しか見えない。

スポット見え方混雑度アクセス
北山通(松ヶ崎付近)「妙」が正面中程度地下鉄「松ヶ崎」駅徒歩5分
高野川付近「法」がよく見える少ない叡山電鉄「修学院」駅徒歩10分
宝池自動車教習所周辺両方が見える少ない地下鉄「松ヶ崎」駅徒歩10分

おすすめ: 観光客が比較的少ない穴場エリア。大文字と比べて混雑がかなりマシ。

船形(西賀茂船山)— 20:10点火

横幅200mの巨大な船の形。帆柱が高さ90mと迫力がある。

スポット見え方混雑度アクセス
賀茂川東側堤防(北山大橋〜西賀茂橋)正面に船形中程度地下鉄「北大路」駅から市バス
船岡山公園左大文字・船形・大文字の3つが見えるやや混雑市バス「船岡山」停留所徒歩5分
上賀茂橋付近近距離で見応えあり少ない市バス「上賀茂御薗橋」停留所

左大文字(大北山)— 20:15点火

右大文字(東山)とは別の山に灯る「大」の字。金閣寺の北側にある。

スポット見え方混雑度アクセス
西大路通(金閣寺〜西院)左大文字が正面中程度市バス「金閣寺道」停留所
わら天神付近近距離で大きく見える少ない市バス「わら天神前」停留所
北野天満宮付近左大文字がよく見える少ない市バス「北野天満宮前」停留所

鳥居形(嵯峨鳥居本曼荼羅山)— 20:20点火

他の4山がすべて松明(たいまつ)なのに対し、鳥居形だけは火床にジュロ(麦わら)を使う。そのため炎の色がやや赤みを帯びる。

スポット見え方混雑度アクセス
渡月橋嵐山の夜景と鳥居形のセット非常に混雑JR「嵯峨嵐山」駅徒歩10分
広沢池水面に映る鳥居形が幻想的やや混雑市バス「山越」停留所徒歩10分
松尾橋付近やや遠いが空いている少ない阪急「松尾大社」駅徒歩3分
虚空蔵法輪寺高台から見下ろす中程度阪急「嵐山」駅徒歩5分

複数の山を同時に見るベストスポット

「できるだけ多くの山を一度に見たい」という人向けのスポットをまとめた。

スポット見える送り火アクセス備考
船岡山公園大文字・船形・左大文字市バス「船岡山」3つ同時は市内随一
将軍塚展望台大文字を中心にパノラマ地下鉄「東山」駅からタクシー大混雑・帰りが困難
京都タワー展望室大文字・妙法・船形・左大文字・鳥居形JR「京都」駅すぐ有料(900円)・抽選制の場合あり
イオンモール京都五条の屋上大文字阪急「西院」駅徒歩15分知る人ぞ知る穴場

現実的なアドバイス: 5つの山は京都市内に分散しているため、20分間に移動して全部見るのは不可能。船岡山で3つ見るか、1つの山に絞って近距離で迫力を楽しむか、事前に方針を決めておくこと。


穴場スポット5選 — 混雑を避けて送り火を楽しむ

定番スポットは18時前に場所取りが必要なほど混雑する。当日ふらっと行っても楽しめる穴場を紹介する。

  1. 松ヶ崎の住宅街(妙・法): 地元の人が静かに見守る雰囲気。観光客が少ない。地下鉄「松ヶ崎」駅から徒歩圏内
  2. 北野天満宮付近(左大文字): 境内の雰囲気と送り火のセット。観光客は金閣寺方面に集中するため比較的空いている
  3. 上賀茂橋付近(船形): 賀茂川沿いの静かなスポット。北大路より北は人が急に減る
  4. 広沢池(鳥居形): 水面に映る鳥居形が幻想的。渡月橋ほどの混雑はない
  5. 船岡山公園(大文字・船形・左大文字): 3つ見えるのに混雑度は中程度。早めに着けば良い場所が取れる

護摩木奉納ガイド — 願い事を火に託す

送り火で燃やす薪に願い事を書いて奉納できる「護摩木」の受付が各山で行われる。料金は1本300円程度。

受付場所受付期間
大文字銀閣寺奥 八神社境内8月14日〜16日
妙法武與門ビル入口付近8月15日〜16日
船形西方寺駐車場8月3日〜16日
左大文字金閣寺門前8月15日〜16日
鳥居形八体地蔵付近8月13日〜16日

船形と鳥居形は受付期間が長い。8月上旬に京都を訪れる予定なら船形の西方寺がおすすめ。大文字と左大文字は最終日(16日)の午前中まで受付していることが多いが、混雑するため早めに行くこと。


大阪から五山送り火を見に行くアクセスガイド

行き

ルート所要時間料金備考
京阪電車 淀屋橋→出町柳約55分480円大文字を見るなら最適。出町柳三角州の最寄り
阪急電車 大阪梅田→京都河原町約45分400円鴨川沿い・京都タワーへのアクセスに便利
JR 大阪→京都約30分580円京都駅から市バスに乗り換え
JR+嵯峨野線 大阪→嵯峨嵐山約55分990円鳥居形を見るならこのルート

出発時間の目安: 18時点火ではなく20時点火のため、17時台に大阪を出れば間に合う。ただし鑑賞場所の確保を考えると16時〜17時に現地着がベスト。

帰り — ここが最大の難関

送り火終了後の20:50以降、京都の公共交通機関は大混雑する。帰りの混雑回避は事前の計画が必須。

戦略内容メリットデメリット
20:30に撤収最後の鳥居形を諦めて混雑前に移動電車に余裕で乗れる全部見られない
21:30まで待機ピークの混雑が過ぎるまでカフェや飲食店で過ごすストレスなし帰宅が遅くなる
タクシー予約事前にタクシーアプリで予約ドアtoドア料金高い・つかまりにくい
京都泊翌日は京都観光にする最も快適宿泊費がかかる

大阪まで帰る場合、京阪と阪急は23時台まで運行している。JRの最終は京都発23:32(新快速)。21時半頃に駅に向かえば、混雑のピークを外して乗車できる。

京都泊を検討するなら: 京都に泊まるべき?大阪に泊まるべき?で費用とメリットを比較している。


当日の持ち物と服装

8月16日の京都は日中の最高気温が35℃を超えることも珍しくない。夜も28℃前後で蒸し暑い。

必携アイテム:

  • 水分(1人1リットル以上。現地の自販機は売り切れることがある)
  • 虫除けスプレー(鴨川沿い・池の周辺は蚊が多い)
  • タオル・汗拭きシート
  • モバイルバッテリー
  • レジャーシート(場所取り用)

服装: 半袖・短パンでOK。ただし蚊対策で長ズボンの方が安心。サンダルより歩きやすいスニーカーが無難(混雑の中で長時間立つため)。関西の月別服装ガイドも参考に。


五山送り火の歴史

送り火の起源は室町時代以前とされるが、正確な記録は残っていない。江戸時代には「十山送り火」として、現在の5山以外にも「い」「一」「竹の先に鈴」「蛇」「長刀」の送り火があったとされる。

明治以降、管理する保存会の人手不足や周辺の都市化により徐々に数が減り、現在の5山になった。2020年のコロナ禍では火床を大幅に縮小して実施(大文字は6基のみ点火)したが、2022年以降は通常規模で行われている。


よくある質問(FAQ)

Q1. 五山送り火は雨でも開催される?

原則決行。ただし台風や豪雨など安全が確保できない場合は点火時間の変更や一部中止の可能性がある。過去に完全中止になったことはほとんどない。当日の判断は16日13:30以降のテレホンサービス(0180-991-153)で確認できる。

Q2. 大文字山に登って近くで見ることはできる?

点火当日(8月16日)は各山への登山が禁止されている。前日までなら大文字山はハイキングコースとして登れるが、当日は保存会の関係者以外は立入禁止。遠くから鑑賞すること。

Q3. 写真撮影のコツは?

三脚を使うなら京都御苑や広沢池など広い場所がベスト。スマートフォンでも撮影可能だが、夜間撮影に強い機種でないとぼやけやすい。ナイトモードがある機種を推奨。送り火は約30分間燃えているため、焦らなくて大丈夫。三脚使用時は周囲の迷惑にならないよう配慮すること。

Q4. 子連れでも楽しめる?

楽しめるが注意点がある。点火は20時と遅いため、小さな子どもは眠くなる可能性がある。また混雑エリアではベビーカーが使いにくい。穴場スポット(松ヶ崎・上賀茂橋など)なら比較的ゆったり見られる。関西の夏休み子連れプランも合わせてチェック。

Q5. 京都観光と送り火を同じ日に楽しめる?

十分可能。日中は京都観光、夕方から鑑賞場所に移動するのがおすすめ。8月16日の日中に京都の日帰りガイド京都カフェ巡りを楽しみ、17時頃から鑑賞スポットへ向かうプランが効率的。


送り火の前後に楽しむ京都の夏

五山送り火は8月16日の夜だけのイベント。せっかく京都に来るなら、前後の予定も組み合わせて京都の夏を満喫したい。


基本情報は京都市公式 京都観光Naviに基づく。最新の交通規制・点火時間変更は当日のテレホンサービスで確認を。